なぜ「思っていたのと違った」が起きるのか?経理代行で成果が出る会社・トラブルが続く会社の違い
経理のアウトソーシングを導入された経営者の方から、「思っていたのと違った」というお声をいただくことがあります。請求書の処理漏れや売上金額のズレなど、想定していなかったトラブルに戸惑われるケースです。一方で、同じように経理を外部に任せているのに、驚くほどスムーズに回っている会社もあります。この違いはどこから生まれるのでしょうか。今回は、経理代行の現場で見えてきた「うまくいかないケース」と「うまくいくケース」の分かれ道について、実務目線でお伝えします。
「丸投げできる」という誤解
うまくいかないケースに共通するのは、これまで社内の経理担当者に業務を丸投げしていた会社が、外注先にも同じ感覚で任せようとするパターンです。
社内に経理担当者がいた頃は、その方が日々の業務の中で、会社の細かい事情まで自然と把握していたはずです。「この取引先は月末締めだけど、請求書は翌月10日頃にしか届かない」「このお客様の入金は名義が違うことが多い」といった、マニュアルには書かれていない“暗黙知”です。社内担当者はこうした情報を頭の中に蓄積しながら、多少情報があいまいでも、経験と勘で正しく処理してくれていました。
ところが、これと同じことを外注先に期待してしまうと、うまくいきません。外注先は会社の内部にいるわけではないので、明文化されていない事情までは、当然ながら把握できないのです。
実際に起きているつまずき
具体的には、こんな形でつまずきが起こります。月末になって、その月の請求書をまとめてバサッとお送りいただくのですが、その中に金額が確定していない見込みの請求書や、内容が未確定のものが混ざってしまっているケースです。外注側はそれを確定した請求書として処理してしまうため、結果として売上の計上額がずれてしまう、といったことが起こります。
担当者に悪気があるわけではありません。「今まで社内でもこのやり方でなんとかなっていたから」という感覚の延長線上で起きる、いわば構造的な行き違いなのです。社内にいれば、少しあいまいな請求書を見ても「これはたぶんまだ確定していないやつだな」と経験でカバーできてしまいます。しかし外注先にとっては、渡された資料がすべての判断材料です。そこに解釈の余地が残っていると、どうしてもズレが生じてしまいます。
うまくいっている会社に共通するルール
一方で、経理代行が非常にスムーズに機能している会社には、明確な共通点があります。それは、社内でやること・外注先に任せることの役割分担が、業務フローとしてきちんと設計されている、という点です。
例えば請求書の回収ひとつをとっても、うまくいっている会社では次のようなルールが徹底されています。
- ✓ 取引先とのやり取りは、必ずメールで行う(郵送や手渡しにしない)
- ✓ 可能であれば、取引先から外注先へ直接メールを送ってもらう
- ✓ 直接受け取れない場合は、社内の担当者が受け取った請求書を、そのまま外注先へメールで転送する
こうすることで、外注先の手元には常に「原本としての請求書メール」が残り、金額や内容の確認・突合がしやすくなります。
また、売上の把握についても、口頭やメモではなく、必ずExcelなどで一覧表にまとめてから外注先に渡す、というルールを設けています。何が、いつ、いくらで確定した売上なのかが一目でわかる状態にしておくことで、外注先は迷わず正確に処理できるのです。
ポイントは、「確定した情報だけを、決まった形式で渡す」というシンプルなルールを、社内の運用として定着させていることです。特別なシステムや高度な仕組みが必要なわけではなく、こうした小さな取り決めの積み重ねが、経理代行の精度を大きく左右します。
経理代行を成功させる3つのポイント
これまでの内容をまとめると、経理代行がうまくいく会社には、次のような共通点があります。
- ✓ 請求書などの資料は、必ずメールでやり取りする運用に統一している
- ✓ 売上や取引の情報は、確定したものだけをExcelなどの一覧表にまとめて渡している
- ✓ 「社内でやること」と「外注先に任せること」の線引きを、あらかじめ決めている
「丸投げ」ではなく「任せ方の設計」が鍵
こうして並べてみると、経理代行がうまくいくかどうかを分けているのは、外注先の実力そのものというより、「どこまでを社内でやり、どこからを外注に渡すのか」という最初の設計なのかもしれません。
これまで経理を丸ごと任せてこられた会社さんも、決して間違っていたわけではないと思います。むしろ、社内の担当者の方が優秀で、会社のことをよくご存じだったからこそ、細かい判断まで自然とこなせていた、ということなのでしょう。裏を返せば、その“頭の中にあったやり方”を少しずつ仕組みに落としていくだけで、外注化は驚くほどスムーズになっていきます。
私たちも、単に業務を巻き取るだけでなく、こうした役割分担やオペレーションの設計を、導入時にお客様と一緒に作り上げるところから伴走させていただいています。「何を、どんな形で、どのタイミングで渡していただくか」を最初にすり合わせることこそが、経理代行を成功させる一番の近道だと考えています。
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