売掛金とカード入金の消込地獄を乗り越えるには 〜売掛金計上単位の発想転換〜

はじめに
個人客に対して物を売ったりサービスを提供する場合、管理の仕方によっては、売掛金の管理は一気に複雑になります。特にカード決済を導入している場合、売上と入金の突合(消込)作業が煩雑になり、経理担当者の頭を悩ませます。
売上単位で売掛金を立てると、なぜ破綻するのか
販売時点で売掛金を立てるのは経理の基本。しかし、カード決済の場合、実際の入金は数日〜数週間後。しかも、手数料が差し引かれて入金されるため、売上金額と入金額が一致しません。
さらに、カード会社からの入金は複数日分がまとめて振り込まれるので、売上1件ずつの売掛計上では照合が破綻します。消込に膨大な時間がかかり、他の業務を大幅に圧迫します。
発想の転換:「入金単位」で売掛金を立てる
この状況を打破するためには、「売上単位」ではなく「カード会社からの入金単位」で売掛金を立てる方法に切り替えるのも一つの方法です。
具体的には、カード会社からの入金明細をもとに、入金額全体を売掛金として計上し、手数料控除分を別途費用処理をします。これにより、売掛金と入金額が一致し、消込作業が格段にラクになります。
カード決済分は、まとめて売掛金にしてしまうという方法です。
この方法のメリットは以下の通りです:
- 消込が入金ベースで行えるため、照合がスムーズ
- 手数料控除分を明確に費用計上できる
- 売上データとの照合は参考情報として扱うこととし、実務負担を軽減
- 月次処理の精度とスピードが向上
実務での工夫
現在は、カード会社別に売掛金勘定を分け、入金明細をExcelに展開して照合しています。入金明細は、近年はほとんどのカード会社でWEB明細が取得できます。CSVデータでのWEB明細がダウンロードできる場合は大いに活用しましょう。ここで、紙で届いた明細をExcelに起こすような作業をしてしまうと、時間がもったいないですから、とにかく既存のデータを使うのが重要です。紙媒体を遠ざけましょう。
おわりに
売掛金とカード入金の消込は、理論と実務のギャップが大きい領域です。厳密には、もちろん売上が発生したときに売掛金を立てたいところですが、固定観念を捨て、「入金単位で売掛金を立てる」という割り切り、柔軟な発想が、経理の効率化と正確性を両立させるには時として必要な場合もあります。
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