経理に管理職が育たない会社が、次に考えるべきこと
はじめに
経理に管理職が育たない。この問題は、実は多くの中小企業が抱える共通の課題です。経理担当者はいるものの、長く勤めていても昇進せず、業務を回すだけで終わってしまう。マネジメント層が不在のため、改善も進まず、属人化が深刻化する。こうした状態が、経理部門をますます弱体化させ、経営全体にとっても見えにくいリスクを孕んでいます。
本コラムでは、「なぜ経理に管理職が育たないのか?」という構造的な課題から出発し、時代の変化に対応するための選択肢として「経理アウトソーシング」の活用可能性について考察します。

なぜ経理に管理職が育たないのか
経理に限らず、いわゆる管理部門は「コストセンター」と見なされがちです。特に中小企業では、営業や開発などの「売上に直結する部門」ばかりが重視され、経理は「言われたことを正確に処理する部門」として扱われてきました。
この構造的な軽視が、人材育成においても影響を及ぼします。プレイヤーは育っても、マネジメントを任せられる人材が社内で計画的に育てられることは少なく、結果として管理職が「不在」の状態が続きます。
加えて、性別やライフステージに起因する構造もあります。経理部門は女性比率が高い傾向があり、優秀な人材であっても、出産や育児によって時短勤務やパート勤務となり、キャリアが中断されるケースが多々あります。厚生労働省の調査によれば、第1子出産時に約半数の女性が離職しており、継続的なキャリア形成が難しい現実があります。
経理が軽視される文化と、その弊害
経理が「裏方」「管理」「コスト」といったイメージで見られ続ける限り、そこに属する人々もまた、自信を持ちにくくなります。「誰にでもできる」というようなことを言う人もいます。「提案するよりも、とりあえず今のやり方を守るほうが無難」という意識が組織に染みつき、改善提案が生まれにくくなるのです。
その結果、業務は属人化し、ブラックボックス化が進みます。特定の人しかわからない処理、特定のフォルダにしか保存されていないデータ、引き継ぎができない会計処理…。こうした状況が続くと、経営層は経理の実態を把握できず、意思決定に必要な情報をタイムリーに得ることも難しくなります。
経理部門が正しく機能しない企業では、資金繰りや利益構造の把握が曖昧になり、経営リスクが高まります。にもかかわらず、経理部門の強化やマネジメント育成に本腰を入れて取り組む企業はまだ多くありません。
高度化する経理業務と、求められる役割の変化
近年、経理業務は急速に高度化・複雑化しています。インボイス制度、電子帳簿保存法、クラウド会計の普及など、法制度やIT環境の変化により、従来の処理業務だけでは不十分になっています。
経理は単に仕訳を入力する仕事ではなく、経営判断に必要な数字を整理し、意思決定に資する情報を提供する役割へと変わりつつあります。すなわち、経理は「過去の記録を整理する仕事」から、「未来の意思決定を支える仕事」へと進化しているのです。
このような時代において、「マネジメント視点を持つ経理担当者」の存在はますます重要になります。ところが、社内にそうした人材が育っていない、あるいは育てる環境が整っていないという現実が、多くの企業に共通する課題となっています。
アウトソーシングという選択肢
こうした状況において有効な手段の一つが、「経理アウトソーシング」です。
アウトソーシングというと、「定型的な作業の外注」というイメージを持たれがちですが、近年では「経理DXの伴走支援」「業務プロセス改善」「月次決算の早期化」「経営数値の可視化」といった、高付加価値のアウトソーシングサービスも増えています。
つまり、社内に管理職が育ちにくいのであれば、外部の力を借りて経理の基盤を整え、属人化を排除し、標準化・効率化を進める。そのうえで、社内のプレイヤーが日常業務に集中しやすくなり、いずれはマネジメントを担う人材を社内で育成する土壌もできてくるのです。
「アウトソーシング=人材不足を補う手段」ではなく、「業務の見える化と改善を推進する経営戦略」として活用することが鍵です。
経理は“未来”を支える部門へ
経理は単なる裏方ではなく、数字の背景を読み取り、経営の意思決定を支える大切な役割を担っています。
だからこそ、経理部門にリーダーがいないままで良いはずがありません。必要なのは、「人が育たない」と嘆くのではなく、「育てられる環境と役割」を整えること。そして、その一歩として、外部パートナーと連携することも重要な選択肢です。
「経理に管理職が育たない」ことは恥ずかしいことではありません。しかし、それを放置することは、経営の将来を危うくする可能性があります。
今こそ、経理部門に新しい風を吹き込むタイミングです。その第一歩として、アウトソーシングの活用を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
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