経理業務の属人化が招く落とし穴とその解決策
1. はじめに
経理業務は、会社の運営において欠かせない重要な役割を果たします。しかし、経理業務が特定の担当者に集中しすぎると、属人化が発生し、企業全体の効率性や透明性が損なわれるリスクが生じます。
本記事では、属人化がもたらす具体的な弊害と、それを防ぐための実践的な解決策を探ります。
2. 属人化による弊害
実際に起きたエピソードを紹介します。一人の社長が複数の会社を経営しているのはよくあるケースです。一つ一つの会社規模は大きくないため、経理担当者が複数の会社の経理を掛け持ちして担当していました。
各事業会社の経費の支払やお金の管理を経理担当者が任されていましたが、その中の一つの事業会社の銀行口座から、他の複数の事業会社の経費が支払われていたのです。
本来であれば各事業会社それぞれの銀行口座から経費を支払わなければならないはずですが、経理担当者が面倒になったのかもしれません。
それによって、次のような問題が生じました:
- ❗ 資金流れの混乱: どの事業会社がどれだけの資金を使用したのか、正確に把握するのが困難。
- ❗ 会計処理の複雑化: 経費の記録や仕訳が複雑になり、ミスや抜け漏れが発生。
- ❗ 監査や税務申告リスク: 不適切な経費処理により、監査・税務で問題が発生。
これらの問題は、属人化の弊害の典型的な例です。担当者のみに頼る経理業務では、企業の成長や拡大に伴い、リスクがさらに増大します。
3. 経理業務が属人化してしまう原因とは
属人化が生じる主な原因には以下のようなものがあります:
- 業務引き継ぎの不足や担当者のスキルに依存する状況。
- 経費支出や資金管理に関する明確なルールや仕組みが整備されていない。
- 成長中企業や小規模企業で特に見られる、リソース不足や効率性優先の文化。
これらの要因が複合的に絡み合うことで、属人化が深刻化します。
4. 経理業務を属人化させないための解決策
属人化を防ぐためには、以下のような解決策が効果的です:
- 経費支出のルールを徹底する: 各事業会社専用の銀行口座・クレジットカードから経費を支出するルールを制定・徹底します。これにより資金流れの透明性が向上します。
- クラウド会計ソフトの活用: クラウド会計ソフトを導入することで、取引を自動的に取り込み、複数の事業会社の資金状況をリアルタイムで管理できます。
- 業務フローの整備: 経費支出や資金管理のプロセスを明文化し、定期的に見直すことで、担当者に依存しない仕組みを構築します。
- 教育とチームの協働: 経理チーム内での知識共有やスキル向上を促進し、属人化のリスクを減らします。
5. まとめ
経理業務の属人化は、企業の運営において重大なリスクをもたらします。しかし、適切なルールの策定やクラウド会計ソフトの導入など、具体的な対策を講じることで、属人化のリスクを最小化し、透明性と効率性を高めることが可能です。
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